広報・SDGs推進担当
広報・SDGs推進担当
CHAPTER1
人事責任者である相馬さんとお会いする機会があり、働かせていただくことになりました。TCEの業務内容と、私に提案してくれた仕事内容がとても魅力的だったのが決定的でしたね。当時の私は大学を卒業したものの、進路に迷っていました。普通の就活をするよりも、縁とか偶然性に任せて生きてみるのも悪くないと考えていたんです。
また、働く上で倫理的でありたいという信念を、どうしても捨てたくなかったというのもあります。大量生産、大量消費をよしとする現在の経済社会への違和感を払拭することができませんでした。環境負荷をはじめ、人権の蹂躙、動物福祉の欠如など、何らかのしわ寄せの上に成り立っているビジネスは多いです。モノの生産を通じてプラスの価値を生み出す前に、いまここにあるマイナスをどうにかするのが先だと思っています。
つまり、TCEのように、未来に新たな負債を作らない会社で働くのは、自分の倫理に適っていました。TCEへの就職は偶然といえば偶然だし、必然といえば必然でしたね。
CHAPTER2
リユースパソコンの良さは当然、お客様にとっては経費や予算のカットという良さがあります。しかし、私は別のところに良さを見出しています。
例えば、「普通の人」、つまり経済的に合理的な人は何かを買い求めるとき、費用対効果を重視しますよね。しかし、買い物という行動がある種の投票であることを意識している人は少ないと思います。新しいモノを買うとき、その製品がどういった資源や資本、労働力を出どころとしているのか、その影響は何なのかということに思いを馳せることが大事な時代になっていると考えています。
そこで、パソコンを買うときの「新しいひずみを生まない」という選択肢を、リユースパソコンは提供しているのではないでしょうか。パソコンに限らず中古品を購入することで、よりクリーンな消費生活を送ることができると思います。
また、教育機会などの格差軽減の可能性もあると思います。手頃な価格でちゃんと使えるパソコンが入手可能であるということは、「パソコンを買える人」を多くしているのではないでしょうか。
CHAPTER3
いろいろ話してきましたが、リユースパソコンは今風に言えばSDGsと密接に関わっているんですよね。しかし、TCEは「SDGsへの取り組み」をしているのではなく、それ自体がSDGsに繋がっているというのが特徴です。例えばメーカーが既存の事業に加えて、あるいは改善を行う形でSDGsに取り組むというのとは話が違います(それも大事なんですけど)。企業がSDGsに対して積極的に取り組んでいるというのは、もはや消費者に対する、ある種のシグナリングとして機能しています。
リユースパソコン事業はそれ自体がSDGs的だと思います。一番わかりやすいのは12番目の目標である「つくる責任 つかう責任」ですね。これは「SDGs成功の可否を握る目標」とも評されていて(蟹江憲史、『SDGs(持続可能な開発目標)』、中公新書、2020年、p102)、現在のいびつな社会や地球環境を作り出したおおもとを見つめ直す目標だと思います。したがって、TCEの事業はモノの製造と消費に付随する責任を肩代わりしている状態だと捉えています。
CHAPTER4
大げさなことを言うと、TCEのような会社が要らなくなるのが理想です(笑)。モノを作る企業が、モノを作るときのリソースが持続可能であること、そして作ったモノの一生についてきちんと面倒を見るという「責任ある」生産をできるようになることが、SDGsにおいて目指されているはずです。もちろん、そのためには消費者の姿勢も変わらないといけないのですが。SDGsに取り組むことは、特に日本のような工業先進国・富裕国の責任なので、TCEのリユース事業がそれまでのつなぎだといいです。
冗談はさておき、リユース事業だけでなく、よりSDGsに寄り添った事業を取り入れてみたいですね。例えば、教育の平等や格差解消という観点でリユースパソコンをお金に困っている人に提供するとか、会社の運営において必要なリソースをすべてクリーンなものに変えていくなど、できることはいっぱいあると思います。そして、最終的には企業とSDGsのあり方を提示し、SDGsに関するコンサルティングなんかもできるような会社にしたいです。