TCEとSDGs

サステイナブルな事業は、昨今の議題でもある「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」への取り組みにつながります。

SDGsは企業や政府だけのものではありません。

地球上で生きる一人ひとりの行動指針としてのSDGsの重要性も指摘されています。

SDGsに寄り添った事業は、それをおこなう組織にとっての取り組みだけではなく、それを消費する人にとっての取り組みにもなると言えるでしょう。

買い物が投票にたとえられるように、SDGs的な製品を消費することも、SDGsを推進することなのです。

そこで、TCEの事業が具体的にどのようにしてSDGsにつながりうるのか、考えてみることにも意義がありそうです。

つくる責任、つかう責任

TCEの事業がもっとも関係しているのは、SDGsに挙げられている〈つくる責任 つかう責任〉で表されている、「持続可能な消費・生産形態を確実にする」という目標です。

ここでは、持続可能な消費と生産に取り組むことが企業に対して明確に求められており、この目標は、SDGsの第一人者によって「SDGs成功の可否を握る」とも評されています。

同氏によれば、廃棄物の発生を抑えるという意味で、リサイクルやリユースも有効な取り組みとされています。

そして、新品を買うことで新たな需要を作らないという意味では、製品の出どころ、つまり製造にあたって注がれた労働力や資源などのリソースと、そのいびつな代償を減らすことができます。

もちろん、これは持続可能な生産と消費のための根本的な解決にはなりません。

しかし、より少ない悪影響や負荷を選ぶことで、SDGsという目標に寄り添った生活に近づくことができるとTCEは考えます。

このことは、モノの製造や廃棄の過程で生まれているほかの問題(たとえば労働、きれいな資源へのアクセス、健康や福祉、自然環境の保持、公正や平等など)への、直接でなくともいくらかのアプローチになることも想像できます。

平等と公平の実現

リユースパソコンとSDGsのつながる側面は、環境だけではありません。

平等と公正の実現に近づくという可能性をも持っています。

TCEのリユースパソコンは、新品同様の動作性を確保しつつも、新品と比べて圧倒的に価格が抑えられています。

サクサク動くパソコンが低価格であることは、より多くの人のアクセシビリティ、すなわち入手可能性が上がるということです。

そして、ICTへのアクセシビリティの向上は、「平等」の達成に近づく可能性を秘めています。

つまり、ジェンダーや教育、所得などに起因するさまざまな格差にかかわらずICTへのアクセスがあれば、情報に触れる機会が増えるという点で、これらの是正に寄与することが期待できるのです。

SDGsでは教育やジェンダーの平等の実現、貧困をなくすことが唱えられており、TCEの事業がつながっていると言えるゆえんです。

日本でも子どもの貧困率が上がり、すべての子どもが平等な機会をかならずしも与えられているとは限らないなかで、少なくともパソコンのような情報機器が誰にとっても入手可能であることは、教育の質や普遍性を向上させることにつながると言えるでしょう。

国家間の不平等や権力関係の不均衡に対しても、リユースパソコンは救いを秘めています。

上に説明したように、コンピュータ機器の製造過程では利益の不公平な配分と不健全な労働環境という問題があり、SDGsで唱えられている〈平和と公正をすべての人に〉という目標と相容れません。

理不尽な搾取に「NO」を突き付けるためにも、リユースパソコンに存在価値を見出すことができます。

このようにして、平等と公正の実現が、結果的にSDGsで目指されているような健康で健全な生活につながっていくことが理想的です。

SDGsは、個々の目標がそれぞれに独立して達成されるものではなく、それぞれが連関や相互作用をもっていることが特徴です。

それゆえに、〈つくる責任 つかう責任〉や、平等にかんする目標に取り組むことは、副次的に、そして必然的にほかの目標の達成に近づくことを意味するのです。

参考文献

蟹江憲史、『SDGs(持続可能な開発目標)』、2020年、中公新書

ピーター・レイシーほか、『サーキュラー・エコノミー・ハンドブック:競争優位を実現する』、2020年、日本経済新聞出版

Virgil Hawkins、『電子廃棄物の問題』、Global News View、2021年5月13日、 https://globalnewsview.org/archives/14743

Virgil Hawkins、『電気自動車環境に優しいのか』、Global News View、2018年4月19日、 https://globalnewsview.org/archives/6702

Hampus Andréほか、『Resource and environmental impacts of using second-hand laptop computers: A case study of commercial reuse』、ScienceDirect、2018年

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0956053X19301825

渋谷昭寛、『パソコンのリユース・アップグレードに関する LCA 研究 ―2R型買い替え行動に着目して―』、発行年不明

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